6月4日。春のG1最終戦「安田記念」。
3月の終わりの高松宮記念からずっと続いてきた古馬のG1ロードと3歳馬によるクラシックロード。その最終戦となる安田記念である。今月の末に最終最後の宝塚記念が行われるが、気分は安田記念で一括りとなるのが人情というものだろう。
この2か月、ファンとして善戦していれば気分爽快、ファイティングスピリットも維持されているが、悔しさが募っていれば、もうそろそろ競馬に疲れていることもある。
私?何となくしのぎ切って、まあ取り敢えず可もなく不可もなく、安田記念を迎えたのだったが・・・。
安田記念での狙いの伏兵馬3頭は、すでに決めていた。
まずは、昨年の覇者ロゴタイプ。昨年の前半5Fを35秒で逃走し、ラスト3Fは33秒9で決め、あのモーリスをも寄せつけなかった馬だ。4年前の皐月賞はおおいに弾けて差し切ったが、今は、先頭にこだわる逃げ馬がいれば好位から、いなければ自ら先頭に立ってレースを作る完成した競走馬となっている。出走馬を見渡しても、ロゴタイプを押さえて逃げようとする馬は見当たらず、自らのペースでレースを支配すれば、おそらく好走は間違いないと読んだ。
2頭目は、グレーターロンドン。爪の不安からまだ完調には・・?という説が流れていたが、これまでの完勝とも言うべき連勝の過程を知る限り、初めてのG1挑戦での未知なる魅力に溢れていたし、最終追い切りをGCで見て、私自身は大丈夫と見なした。
そしてレッドファルクス。6F戦でのG1馬だが、何と言っても前走道悪の京王杯での上り33秒7の破壊力のある決め手は、乗り方ひとつで、たとえ良馬場のマイル戦でも通用するものがあると信じた。鞍上はミルコ・デムーロでもあったし。
この3頭の伏兵を見出して、それに対抗し得る馬を選べば、安田記念は大丈夫だと信じて疑わなかったのである。
まあ、ここまでの推理は大正解だったのだが、ここから迷路にはまり込んで行ったということだ。
前記3頭を凌げる馬はどれか?と考えると、考えれば考えるほど、ここまで尽くしてくれた贔屓の馬が、私の頭の中で浮かび上がってくる。それもまた人情というものだ。
より冷静に言い切れば、私自身は、競走馬の強さと言うのは、自らにどんな不利な条件下であっても、アクシデントに見舞われない限り、少なくとも掲示板は外さないという強さだと思っている。
だとすれば、この条件に当てはまるのは、イスラボニータとエアスピネルしか、私には考えられなかった。
蛯名正義からルメールの騎乗交替してからのイスラボニータは、スムーズに馬群を捌いて馬群の中から突き抜けてくればいレースを繰り返していたし、距離不向きの菊花賞でも3着を確保したエアスピネルの奮闘にも高い評価を与えなければいけないだろう。
すべての条件が揃って、言い換えればすべての条件が御膳立てされて好走するサトノアラジンのような馬には、今回は少しも眼が行かなかった。サトノアラジンの前走不得手の道悪だった京王杯9着惨敗には、何の印象も感じられなかったからである。
それでもイスラボニータとエアスピネルが、マイラーズCのように手を取り合うように並んでゴールインする光景は、何となくイメージできなかったので(こんなイメージが私にはかなり重要な要素でもある。推理が不適中のときは、どことなく心にたとえて言いようのないモヤがかかるのだ)、この両馬から伏兵3頭に馬連で流したのが結論だった。
ゲートが開いて、7歳馬田辺裕信ロゴタイプが堂々と逃げた。
ラップタイムは、前半3F33秒9。5F57秒1。昨年より5Fで約2秒早いペースでレースを作り、それでもゴールまで粘ったのである。
決着タイムは1分31秒5。結果は同タイムのクビ差2着だったが、マイラーとしての完成期を、7歳のロゴタイプは今改めて迎えているのかも知れない。
4コーナー手前地点から、私はもう諦めていた。中団にいたルメール・イスラボニータも、後方に待機策を選んだ武豊エアスピネルも、これではホームストレッチで無事には済まないと予想されたからだ。
案の定、前を行く馬たちに進路を阻まれて、両馬共にスムーズには馬群を捌けず、名手にあらざる様な不様な騎乗となってしまった。古馬G1のマイル戦なら、事あれば他馬をも弾き飛ばす威圧感ある主張をしなければ馬込みを容易に抜けられはしない。
そもそも何故、2頭共に先行力ある脚を伸ばさず、後方に控えたのか?私には本当のところは判らないが、見ていて爽快感が生まれる騎乗ではなかったことは間違いないだろう。それでも最後にエアスピネルが掲示板を確保したことだけは褒めてやりたい。
確かに、ロゴタイプの作ったハイペースで、掲示板に乗ったのは粘り抜いたロゴタイプ以外はすべて後方の馬たちだったのも事実だが、進路を阻まれてしまったのは、私にはそこに至る意識の周到な準備が為されていなかったと、敢えて名手に憎まれ口を叩いておくことにしよう。
ともあれ春のGI戦線は、アッという間に終わった。反省もあればゴール前の歓喜をも得た。
痛恨だったのは、NHKマイルCだったが、このレースから教訓を得て、より一層レースの流れを意識するようになったのも事実である。この春、私自身のその進化は大きいことだったと思う。
でもふと気づくと、あらま2017年はもう半分ほどが過ぎ去っている。
この時の流れの速さには、困ったものだ。まだ大事なことは何もしていないのに、時間だけがどんどん私を置き去りにして過ぎていくようだ。うーん・・・。
コメント
コメントを投稿